これまでの句会報
10月の句会  ( 兼題 田・自由題 )

陸奥(みちのく)に芭蕉宿かる菊膾(きくなます)        懐風
飛鳥の田歴史秘めたる二千年      懐風
田仕舞の夫婦ときどき目を合わす    宣子
返り花ばかり見つけて笑はれる     宣子
うつろひや故里の田みな花野      麦風
蛇腹写真機初めて撮りし野菊の娘    麦風
小さき田小さき村の鳥威        真里子
蕎麦殻の枕を斜に秋渇         真里子
田の神は何処に秋の造成地       操
脚の機嫌とりつつ刈田へ農夫行く    操
錆鮎に瀬音棚田に風の音        雄作
季の和菓子ととのふ膳所は雁の頃    雄作
龍田姫ならねど少し粧ひて       陽子
毬栗やしんそこ憎きいじめっ子     陽子
ものぐさにならぬ田の人案山子かな   善子
木犀や朝な夕なの通ひ路        善子
笑うため顔はあるもの恵美須市     西放
辞儀をして別かれ別かれに稲の秋    西放



9月の句会報  (兼題 木・手・自由題 ) 

お手玉の中に鈴鳴る良夜かな     懐風
木の葉踏む吟行言の葉選びつつ    懐風
北鮮の密輸ルートに松茸も      懐風
手枕もしてみたからうに捨案山子   小夜子
木の家の木のスプーンの茸汁     小夜子
つり革の揺れてシンクロ涼新た    小夜子
揺れてゐる芒よ風よ亡き人よ     達雄
比良比叡群れて流れて秋の雲     達雄
居酒屋の健さん睨む秋の酔ひ     達雄
ずぶ濡れの一行走る秋祭       宣子
風の盆川に余韻の灯の流れ      宣子
旅先の一人のコーヒー木の実落つ   宣子
山崩し一村流す雨月なり       麦風
一木に仏彫る手の夜長かな      麦風
(はぜ)護摩木しかと書き込む願ごと   麦風
まな板の響きあかるし鰯雲      博子
秋夕焼手繰り寄せたる小舟かな    博子
菊日和遮那王在りし木の根道     博子
鳥威アトリエいつも閉ざされて    真里子
吹き抜けの書架の一冊星月夜     真里子
水の秋両手を使ふ仕事して      真里子
朝顔や昔はここに材木屋       操
少年の木登り上手柿たわわ      操
手拍子の聞こゆる館秋の宵      操
盆おどり生者も死者も手をたたき   美代子
秋空やどこが涯やら始めやら     美代子
秋風やいつもあわてる昼寝覚め    美代子
手品師のたまご来てゐる敬老日    泰子
野分中飛び込んでくる往診医     泰子
空井戸の蓋新しき曼珠沙華      泰子
秋灯寄せ木細工の角と角       陽子
人生の宿題帳や夏終る        陽子
金運を手相にさがす秋湿       陽子
デスクトップに私の居ない秋のこと  西放
行く秋のポートライナー無人の手   西放
秋澄むや岡田嘉子のモノ・フィルム  西放


8月の句会報  ( 兼題 流・靴・自由題 )

明日は何処山をも流す夏豪雨     懐風
靴音のハタと止まりぬ夏深夜     懐風
雷鳴に(おび)へる富士の九合目       懐風
靴音のあまたに抜かれ星涼し     小夜子
向日葵の後ろ姿を連行す       小夜子
夕端居峡を最終バスの行く      小夜子
鬼灯や親の苦労も知らず吹く     達夫
蝉のまた鳴き始めるや切れ切れに   達夫
好きな子に打つてほしいよ水鉄砲   達夫
流木の筏となりし秋出水       宜子
箸置いて聞くは貴船の蝉時雨     宜子
流木の月日より翔つ秋の翳      宜子
赤い羽根謙虚忖度思ひ遣り      麦風
両極の氷を流すのも炎帝       麦風
大原女も雲水も来る賀茂の涼     麦風
爽やかやみづいろの靴はき初めて   博子
台風禍ながされてなほ流れ橋     博子
遠き灯の生駒の山の夜涼し      博子
顕かに靴音違へ星月夜        真里子
伏流の微かなる音秋の翳       真里子
新秋や木靴に小花あしらへる     真里子
声高き敬老会の靴の数        操
願ひ事はひとつ未明の流星群     操
流行の歌を合唱法師蝉        操
送り火やガラスのようなたましいも  美代子
紫蘇ジュースグッとのみほしいざ行かん 美代子
白い靴思いきりよく今朝おろす    美代子
水打ちて靴箆(くつべら)渡す女将かな      泰子
流木は浪音を聞き敗戦日       泰子
生国のビルなき空に流れ星      泰子
揚羽去りひとりぼっちも悪くない   陽子
まだ見えていて去りがたき流燈会   陽子
初秋の神戸で買った赤い靴      陽子
白靴を履かぬまま過ぎ白き風     善子
流される昭和の演歌里祭       善子
来し方やラヂオの前の終戦日     善子
ホモ・サピエンス歩き続けてヒロシマ忌 西放
ミサイルの噴口腐し卯の花腐し    西放
七月来画布にタヒチの島おんな    西放

七月の句会  (兼題 心・仰・自由題)

仰向ける蝉に一日の暮れかかる    小夜子
乱世と仰せのとおり蓮の花      小夜子
ふり仰ぐグリコのネオン虎が雨    小夜子
来襲ヒアリ炎帝これ国難       懐風
仰ぐ天底が破れて悪魔梅雨      懐風
夏座敷淡海節と周航歌        懐風
電線は地に埋められて街薄暑     宣子
里に虹人には云へぬこころざし    宣子
尼寺を奥に隠して日雷        宣子
仰ぎみる向日葵に胸覗かせて     麦風
帯しめて貰らひ駆けゆく地蔵盆    麦風
仰ぎみる長谷の観音炎帝だ      麦風
寂然の心の先に大文字        博子
初蝉やあんぐり仰ぐ鯉の口      博子
茅の輪くぐりて仰ぎみる空青し 
   博子
堂々とまた飄々と心太        真里子
一昔また一昔水を打つ        真里子
新刊書の手ざわりやさし夜の秋    真里子
キンギョーェキンギョ夜中の金魚   美代子
目に溢る子沢山なりあめん      美代子
白川の瀬音聞きつつ片影ゆく     美代子
今まさに巣立つ古里燕の子      操
梅雨明けや老いに合わせし住心地   操
み仏の心のままに朝の蓮       操
虫干や妣の箪笥に陀羅尼助      泰子
心憂しバナナ色づく早さかな     泰子
路地裏に仮寓の男鉄線花       泰子
信仰を持たずに生きて梅雨の闇    陽子
熱帯夜わが心臓の在りどころ     陽子
隣国にロケット隅田は川開き     陽子
兵になる子を産めという花火の夜   西放
心眼が夏の椿を咲かせ居り      西放
新しき指紋を採りに初茄子      西放
六月の句会  (兼題 任・採・自由題)

さくらんぼ笑顔大使に任命す     小夜子
蛍の夜低温やけどしてしまふ     小夜子
水色の花に長居や梅雨の蝶      小夜子
入りの陽を照り返したる麦の秋    達雄
去る者を追はず眺むる夏の月     達雄
自転車のペダルに任せ夏野かな    達雄
ゆるやかに右へ(いざな)ふ仏法僧      宣子
採血に身内の病を言ふ溽暑       宣子
白藤や死ぬとき言おうありがとう    宣子
日の丸の表裏を論ず半夏生       麦風
片蔭や(えみ)一つなき採血車        麦風
牡丹園一から出直す余生かな      麦風
青しぐれ朝の吹奏楽部かな       真里子
金魚たゆたふ放任といふ自在      真里子
或る夏の午後の粉末ジユースかな    真里子
輝けり大任果てし汗の顔        操
採決の結果に揺るる濃紫陽花      操
政治家に任侠はなし梅雨の雲      操
赴任して初顔合はせ鱧料理       泰子
父の日や健康器具を持てあまし     泰子
ロボットと暮らす未来や虹の橋     泰子
任せろが父の口癖囮鮎         陽子
あの時もこんな採決梅雨茸       陽子
伐採は噂のままに朴の花        陽子
今年竹さわさわと風受け入れて     善子
蚊遣火にひと夜を任せ詰将棋      善子
半夏生後継ぎの僧無口なり       善子
何方の塀かは存じませぬが蝸牛     西放
卯波立つ鉄の麒麟の赤き縞       西放
閻王の任地は冥土井戸に蓋       西放


五月の句会報 (兼題 快・文・自由題)

洛中に風通しゆく売家札        小夜子
代筆の母の文読む文白つつじ      小夜子
許されぬごと新緑に溺れけり      小夜子
新樹光カタカナ混じる母の文      宣子
ことごとく技を尽くして蜘蛛の網    宣子
髪の癖踊り出したる梅雨の入り     宣子
春光の被爆地犬ら吼え合へる      麦風
春の闇思ひの文面計りゐる       麦風
恋燃やす流れ文字描く螢かな      麦風
掌に乗る竹細工風薫る         真里子
剛胆に叱りし人や心太         真里子
クレマチス文弱の徒たりて佳し     真里子
ぶつぶつと文句言ひつつ枇杷を食う   操
緑陰にひとり坐りて文庫本       操
旅に出てひと日の終り河鹿鳴く     操
アカンベエ舌を動かす四月馬鹿     美代子
春光をたずね巡りし棚田かな      美代子
山法師やっとあえたね百年目      美代子
夏の山無名戦士の声埋もる       泰子
夜振火や基地の海波哭くごとし     泰子
星涼し山のホテルに熟睡す       泰子
快音はホームランなり夏の月      善子
田植機の音低かりし夕べかな      善子
更衣(ふみ)よりスマホに慣らされし      善子

共謀罪水盤にいる目高どち       西放

父の日や明石原人の裔なる       西放
水琴窟地球の底にいる時間       西放

四月の句会  (兼題 猫・空・自由題)

初燕猫の欠伸を掠めゆき        小夜子
良き音をたてて鍵かけ春の風邪     小夜子
カレンダーの猫と目の合ひ四月馬鹿   小夜子
ミサイルの話飛び交ふ花筵       宣子
高齢の暮らしの端に恋の猫       宣子
駐屯の町に住みなれ蜆汁        宣子
(しずく)相合傘の行方かな         麦風
春光の列島(おど)す空に龍         麦風
春光の選挙区隈なく猫被り       麦風
石鹸玉ひとつ無聊なる人へ       真里子
田を近く空を親しくつばくらめ     真里子
人気無き駅前通り猫の恋        真里子
空の青深む風船上るとき        操
いぬふぐり踏んづけて行く猫の貌    操
風光る竹藪多き里家数         操
ガラガラポンあの世この世もおぼろにて 美代子
世は不穏花乱舞して地に戦       美代子
眠る猫(ほぐ)れゆくまま春うらら     美代子
鳥雲や国会答弁空回り         泰子
猫の子を貰ひ転校してゆきし      泰子
永き日や拡大鏡で見る図鑑       泰子
月おぼろ猫の気ままな出入り口     善子
観音の里にひとすじ春の水       善子
方丈に流れる音声目借時        善子
春眠や猫帰る窓少し開け        西放
呼べば来る亀の明日も花おぼろ     西放
花見頃昼寝の虎の鼻太し        西放


三月の句会  (兼題 認・禁・自由題)
チューリップ咲かせ無認可保育園   小夜子
鳥の恋生死を分かつ禁漁区      小夜子
春一番〝滑る落ちる〟を解禁す    小夜子
暗殺の誌面にこぼす雛あられ     宣子
伏兵の様に現はれ野火放つ      宣子
キューピーの目は海の色花三分    宣子
万愚節ファーストレディに大詐偽師  麦風
下萌や華燭の宴にて縁生ず      麦風
春場所や新横綱の縁と運       麦風
懐旧や青饅に箸つけながら      真里子
発禁を解かれし本と風信子      真里子
チューリップ軽く捺したる認印    真里子
春の雷認可に揺らぐ新設校      操
女子会の禁煙座席山笑ふ       操
禁煙の待合室の余寒かな       操
街角の洒落た店先辛夷(こぶし)咲く      美代子
期待こめカーテンをくる春雪の朝   美代子
かたくり咲くうちょうてんなり尻もちつく 美代子
啓蟄や日々多くなる認印       泰子
入学や父の短き文ありて       泰子
春泥や記憶の底の通学路       泰子
大道芸人綱渡り行くフクシマ忌    西放
星おぼろ認識票が落ちていた     西放
宇宙よりひょいと赤んぼ春の雷    西放

二月の句会  (兼題 園・指・自由題)
春や春盗まれやすき指の紋      小夜子
春泥のわんさかとあり動物園     小夜子
つり革に指紋のこせし春の宵     小夜子
名刺なく指図も受けず二日灸     麦風
若者の激動指先山笑ふ        麦風
甲子園選抜を決め進学校       麦風
ふらここに寂しきものの来て坐る   真里子
OKといふ指を丸めし山笑ふ     真里子
春灯ドクターフイツシユに吸はす指  真里子
梅園の日向はいつも猫の席      操
演奏や春爛漫の指定席        操
じやんけんの白き指より冴え返る   操
春炬燵少しときめし指相撲      泰子
園長の声若々し福は内        泰子
春陰や指の切り傷脈打てり      泰子
園丁の指にやさしき(すみれ)咲く      善子
温かな亡父たまひし細き指      善子
断崖の黄水仙(しん)かがやかす      善子
舌出してインシュタインの冬銀河   西放
陽炎うて園に人間ちんばんじ     西放
カステラに指伸びている春の家    西放


一月の句会  (兼題 水・車・自由題)
福袋提げて二日の献血車       小夜子
吉報に飲み干す寒の水甘し      小夜子
水掛けて一願地蔵悴ませ       小夜子
眼差しを市民に向けて冬の陣     達雄
色街の路地を雪雲わたりゆく     達雄
雪止んで三成ぬうと現れり      達雄
大寒の水車コツンと白川郷      宣子
遠い目をしてキューピーの帽子編む  宣子
奴凧天より下ろすがき大将      宣子
雪解水延々よどまぬ信濃川      麦風
車付きトランクを押す春衣かな    麦風
自動車の自動運転みせる春      麦風
探梅や生まるる前の歌うたひ     真里子
車座のひとり寡黙に冬菫       真里子
胸元の小さきピエロ冬木立      真里子
室咲きに水をやる朝陽のやさし    操
北国の雪積み停車京都駅       操
風花のベンチに待てり発車ベル    操
本堂の金色の闇底冷す        泰子
生家てふ宝を今に祝箸        泰子
爪のいろ明るく染めて寒厨      泰子
すこしづつ水際に寄る夕千鳥     善子
機関車の雪の解けゆく都心駅     善子
冬鷗いちまいの海と漂ふ       善子
玄関の右へと開く建国日       西放
人力車寒き水面の嵐山        西放
初鴉京都に啼けば京訛り       西放


十二月の句会  (兼題 壁・白・自由題)
色変へぬ松影正し壁白し          小夜子
寒月光路肩の白のどこまでも        小夜子
ユトリロの街角の白虎落笛         小夜子
反論は革命に似て懐手           宣子
烏瓜手繰りし恋を奪ふごと         宣子
肖像の人髭は白冬ぬくし          宣子
ダイエット二十五の壁破る冬        麦風
菊残る豪邸土蔵のなまこ壁         麦風
白壁の倉敷冬の虹と逢ふ          麦風
襤褸といふ名を被されて冬の魚       真里子
卵の殻噛み捨つ十二月八日         真里子
神の旅壁一枚の隔たりに          真里子
壁を這ふ枯蔦に絵を招く          操
白壁の蔵並ぶ町月冴ゆる          操
塾帰り自転車の子の息白し         操
小春日や曼荼羅の国双幅に         泰子
降る雪や海父母眠る郷遠く         泰子
雪中に野兎の白見失う           泰子
名刀のうしろの熟す白襖          西放
唇厚きトランペッター雪起し        西放
日に一度地球自転す冬いなご        西放

十一月の句会  (兼題 紙・板・自由)
 銀杏降る我が人生の紙芝居       小夜子
 師走風透かす紙幣のうらおもて     小夜子
 たたう紙の古色をほどき冬羽織     小夜子
 どぶ板をたずねたずねて秋暮るる    達雄
 羽衣に遺る香りや余呉の秋       達雄
 孫の覇気確かめ嬉し運動会       達雄
 板チョコの欠片(かけら)を口に枯来道    宣子
 暖かき処を選りて独りかな       宣子
 戦争を語る焼芋ほほばりつ       宣子
 成人式母校に光る板廊下        麦風
 凍てるシベリヤ紙なく俘虜(ふりょ)は樹皮に書く 麦風
 板前の新鮮豪華な寒のクエ       麦風
 夕焚火くしやと丸めて反故の紙     真里子
 米朝の弟子の其の弟子冬銀河      真里子
 あをぞらを近く十一月の薔薇      真里子
 冬麗らやさしき文字の手紙受く     操
 折り紙の得意な子なり冬日向      操
 小春日や寄りそふ恋の紙人形      操
 漆黒の板塀続く冬椿          泰子
 故郷は一石(いちこく)日和石蕗の花        泰子
 色葉落つ無造作に置く九谷甕      泰子
 蕪蒸し壁に人影温もりて        善子
 襟元に無口な兎眠りけり        善子
 板庇落葉集まる裏おもて        善子
 自動ドアから赤紙の来る十二月     西放
 板踏みし稲妻にある土踏まず      西放
 稲を刈る火星にもあるピラミッド    西放


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